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国家工商総局における名称認可についての一件の判例分析
Wed Dec 10 13:11:00 CST 2014 発表者:

陳艶萍

 

 

【事件の概要】
  A社は、登録地が天津濱海新区開発区にある外商投資企業で、香港が登録地であるB社によって単独出資で設立された。A社は、A社全体がグローバルな範囲でアメリカのC社に売却されたため、Aを商号として使用できなくなり、C社の商号を新たな名称の中に用いる予定であった。C社の商号は、同時にB社の商号でもあったため、新たな名称をC+業種D+(中国)+有限公司という構成、即ち「CD(中国)有限公司」に変更する予定であった。
  名称審査の関連法律の規定によると、A社が申請しようとしていた企業名称の認可機関は国家工商総局であり、国家工商総局の要求に基づき、企業の所在地である天津市工商局が先ず『企業(企業グループ)名称変更認可意見書』を発行しなければならない、となっている。A社は、要求に従い、天津市工商局に名称審査に関する申請資料を提出した結果、天津市工商局は、初歩的な審査を通じ、『企業(企業グループ)名称変更認可意見書』を発行し、A社が企業名をCD(中国)有限公司に変更することを認可した。

  A社は、天津市工商局から認可書を受取った後、国家工商総局に名称審査の申請を行った。ところが、国家工商総局が先に、名称に「C」を商号として使っている「C国際貿易有限責任公司」を認可し、しかも、A社が国家工商総局の登録システム上で登記したものが、国民経済関連の業種の分類用語を使用せずに企業が携わる業種について表示したものであった、即ち業種についての表示がなかったため、A社は「C」を商号として使用することができない、と告げられた。そのため、現行の法律の規定により、A社は如何なる業種でも「C」という商号を使用することができなくなった。その結果、国家工商総局は、A社が行った名称審査の申請を受理しなかった。
  そこで、改めて検索したところ、前記の「C国際貿易有限責任公司」のほか、いくつかの有名な会社の名称にも「C」という文字が含まれていた。例えば、「中国C技術(集団)控股有限責任公司」、「中国C機械工程有限公司」等である。


【法律問題の分析】
    一、「CD(中国)有限公司」の企業名称としての構成要素及び法的根拠
    A社が企業名称を「CD(中国)有限公司」に変更申請しようとしていた企業名称の各構成要素及び法的根拠は以下の通りである。
    1、企業名称には企業所在地の行政区画を含まず、即ち、企業名称には「天津」又は「天津市」を含んでいない。『企業名称登記管理規定』第七条の規定によると、国家工商行政管理局の認可を得た場合、外商投資企業の企業名称には企業所在地の行政区画の名称を含まなくてもよい、となっている。A社は、香港の会社が単独出資で設立した外商投資企業であるため、申請した企業名称には所在地の行政区画名称が含まれていない。
    2、企業名称には、「C」を商号として使い、「D」を業種又は経営の特徴を表すものとして使っている。当該商号はA社の株主B社の中国語企業名称における商号を引用したものである。『企業名称登記管理実施弁法』第十条によると、会社が外国(地域)の出資企業の商号を用いて自身の商号とすることができる、となっている。ここでの出資企業というのは、直接出資であることが強調されている。
    3、企業形態は有限公司である。
    4、業種及び企業形態の間に「(中国)」という文字が含まれている。『企業名称登記管理実施弁法』第十条の規定によると、外国企業が支配する外資系企業は、名称の間に「(中国)」の文字を使用することができる、となっている。A社は、香港の会社が単独出資で設立した外商投資企業で、外国企業が支配する外資系企業に属する。
  上述したことをまとめると、A社が変更しようとしていた企業名称は、商号、業種、「(中国)」、企業形態の順で構成されているため、当該企業名称の構成要素は関連の規範性文書の規定に合致している。


    二、「C」という商号を先行して取得した企業の名称認可の過程における矛盾
  上記で述べたように、改めて検索したところ、業種の登録がない「C国際貿易有限責任公司」のほか、いくつかの会社の名称に「C」という文字が含まれており、例えば、「中国C技術(集団)控股有限責任公司」、「中国C機械工程有限公司」等がそうである。ここ数年のうちに発効した名称認可についての規定によると、以下の通り分析することができる。
    1、これらの名称の構成要素に基づき、行政区画又は「中国」という文字が含まれていなかった場合、これらの名称の認可機関はいずれも国家工商総局となり、同局が認可するということが判断できる。「C国際貿易有限責任公司」が先行して認可を得た場合、『名称登録管理実施弁法』の規定によると、企業名称に以下の状況のいずれかがある場合、認可は行わない……。(二)同一の工商行政管理機関が認可又は登録登記した本弁法第十八条に該当する企業名称、商号と同一である場合。但し、出資関係があるものは除く、となっている。即ち、「C国際貿易有限責任公司」と直接的な出資関係がない限り、それ以降、企業名称を申請する企業はいずれも「C」を商号に使用することができない。これらの会社が公に開示している出資関係からみると、これらの会社との間で出資関係はないはずであるが、なぜ「中国C技術(集団)控股有限責任公司」、「中国C機械工程有限公司」は認可を得ることができたのか?
   2、「C国際貿易有限責任公司」が後で認可を得た場合、『名称登記管理実施弁法』の規定によると、企業名称において、国民経済関連の業種の分類用語にて企業が携わる業種の表示を行わない場合、以下の条件に該当していなければならない。……(三)同一の工商行政管理機関が認可又は登記登録した企業名称中の商号と異なっている、となっている。即ち、直接的な出資関係があったとしても、先に「C」という称号を使用している企業がありさえすれば、即ち、「中国C技術(集団)控股有限責任公司」、「中国C機械工程有限公司」があった場合、「C国際貿易有限責任公司」は業種のない表示の名称として認可を得ることができず、せいぜい、ある業種に「C」という商号を登録して使用することしかできない。
  そのため、「C国際貿易有限責任公司」は法律上、業種のない表示の名称であるため、認可を得ることができない。

【結論】
  前記法律問題に対する分析から、以下の結論を導き出すことができる。A社が「CD(中国)有限公司」を企業名称として申請することは法律の規定に合致しているが、「C国際貿易有限責任公司」が業種のない表示の企業名称として、認可を得たことについては手続上又は内容上の瑕疵があるため、A社がD業種において「C」という商号を使用する権利を有するはずである。
  本稿の寄稿締め切り日の段階で、A社は依然として国家工商総局と本件について、コミュニケーションを取っているが、現時点で、明確な結果は出ていない。


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