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備えよう——3Dプリントの知的財産権問題の到来
Mon Nov 20 09:59:00 CST 2017 発表者:华诚小編

備えよう——3Dプリントの知的財産権問

                                                                                                                                                            Edward Chalfie 華誠律師事務所

 アライン・テクノロジー社(Align Technology, Inc.、以下、「Align社」という)はインビザライン(INVISALIGN®)マウスピース型矯正装置を作っている。この製品はデジタルスキャン技術を用いて患者の歯をひとつひとつスキャンし、その後、そのスキャンデータを用いて治療案を作成する。当該方法は異なる段階にある患者の歯のデジタルモデルを使用して治療案を提供する。その後、Align社はデジタルモデルに基づいて、3Dプリント技術でマウスピース型矯正装置を作る。Align社は当該方法及びその方法で作られて使用される構成部品につき、複数の特許を保有している。

 訴えによると、パキスタンClearCorrect Pakistan (Private), Ltd. と ClearCorrect Operating, LLC (テキサス州)(以下、「ClearCorrect社」と併称する)はAlign社のパキスタン特許を侵害しており、患者の歯のデジタルモデルを生成し、その後にそのデジタルファイルをインターネットで同社のテキサス州にある関連会社に送って、3Dプリント技術で実体モデルを作っているということだった。 

 Align社はテキサス州においてClearCorrect社に対し特許権侵害訴訟を提起した。続いて、ClearCorrect社がインターネットを通じて同社のデジタルファイルを電子的形式でアメリカに輸入することを阻止するために、米国国際貿易委員会(以下、「ITC」という)に「337条」に基づく調査を申し立てた。テキサスの権利侵害事件は、ITC事件の結果がでるまで一旦停止された。

 2014年4月3日、ITCは、ClearCorrect社がAlign社の5件の特許を侵害し、337条の規定に違反したと認定し、ClearCorrect社に停止命令を発行した。ClearCorrect社の申し立てを受け、ITCは2014年6月2日に当該停止命令を宣告し、連邦巡回裁判所がClearCorrect社の上訴を審理した。

 連邦巡回裁判所が直面した問題はITCの管轄範囲である。「合衆国法典」第19編1337条(「337条」ともいう)には、ITCは「商品を……米国に輸入する過程」における特許権侵害及びその他の知的財産権侵害行為を管轄する権利を有すると規定されている。ITCが当該商品に知的財産権侵害が存在すると認定した場合には、排除命令(1974年から停止命令で代替)を発行し、当該物品の米国への輸入を阻止することができる。本件において、ITCの審判官(APJ)はClearCorrect社のデジタルファイルは337条に定める「物品」に属し、かつAlign社の特許権を侵害したと認定した。これが正に、ClearCorrect社が連邦巡回裁判所に持ち込んだ上訴にかかる争点であった。Align社も当該上訴審に参加した。同時に、電子フロンティア財団、パブリック・ナレッジ、インターネット協会も法廷助言書を提出するという方法で法廷弁論に参加した。これらの組織はClearCorrect社と共に、デジタルデータは337条に定める物品に属しないため、インターネットで自由に流通させることができ、ITCの制限を受けないと抗弁した。法廷弁論に参加した他方の側はビジネス・ソフトウェア・アライアンス、米国出版社協会、ノキア、アメリカ映画協会及びアメリカレコード協会を含む、デジタル知的財産権保護を求める組織であった。

 連邦巡回裁判所は2票対1票の投票結果をもって、ITCの決定を覆し、事件をITCに差し戻した。Prost首席裁判官は裁判所を代表して意見を発表し、1984年に米シボレー社が天然資源保護協議会(National Res. Def. Council, Inc.)を訴えた事件(467 US 837)の判決をもとに、連邦巡回裁判所の法律解釈について説明した。Prost裁判官の意見において、最も重要で焦点となる概念は、「1930年関税法」における「物品」という言葉の一貫性である。「関税法」においては、「物品」は実物と見なされる。裁判所は更に、1974年の停止命令についての授権は、「物品」が電子送信されたものを含むと画定してはならないという結論を更に支持し、停止命令は排除命令の弱化された代替方法ではなく、排除命令の更なる拡大であるからだとの考えを示した。

 Newman裁判官は当該観点について反対意見を発表し、337条は1922年又は1930年に既に存在した技術タイプに限定したものではないというITCの認定は正しい、との考えを示した。Newmanは、「特許は以前存在しなかった事物のためのものであり、以前人に知られていなかった技術タイプが含まれる……対象物がどのような形式のものであっても、輸入された権利侵害の対象物を337条から排除するのは如何なる根拠もないことである」と述べた。

 当該事件が実用新案特許権侵害に係わり、事件の結果は、意匠、商標及び著作権を含む、インターネットを通じて米国に輸入された被疑侵害データファイルについて、ITCに提起された全ての知的財産権侵害事件に適用されるため、米国出版社協会、アメリカ映画協会及びアメリカレコード協会がこのように緊切に連邦巡回裁判所に自身の論拠を提出したのも驚くに当たらないだろう。 

 Align社が最終的に米国最高裁判所に本件の司法審査を申し立てなかったため、最高裁判所がこの事件を如何に処理するかは、我々も推測するしかない。事件によって重点を置く問題は異なり、係わる法律も異なるが、我々は直近(2016年12月6日)のサムソンがアップルを訴えた事件の判決から手掛かりを得ることができる。この事件において、最高裁判所は「製品の物品(article of manufacture)」という文言における「物品」を「ある特定の物(a particular thing)」と簡単に定義した。この場合、スマートフォンのスクリーンに配列される瞬時に移動可能なアイコン、即ち、アップル社の米意匠の一つが含まれる可能性がある。


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